歯医者と健康寿命
歯医者によく通うと健康寿命が延びる?
健康寿命という言葉をご存知ですか?これは平均寿命とは違って、介護補助の必要がなく、元気で生活の出来る寿命のことを言います。実は、この健康寿命と歯科の治療費に関連性のあることが、近年の研究の結果、わかりました。
歯科治療にお金をかける地域の人ほど健康寿命が長い
日本人は男女ともに、世界的に見ても平均寿命が高いことで知られていますが、実際のところ、日本人の健康寿命は、平均寿命よりも10年ほど短いのが現状です。この差がなかなか縮まらないことに疑問を持ち、健康寿命を延ばすために必要な医療資源は何か、ということについて昨年京都大学が調査を行いました。すると、歯科医療(保険治療)への出費額が多い地域の人(特に男性)ほど健康寿命が長いという結果が出たのです。
歯科治療に年間1万円多く払う地域では健康寿命が0.7歳長い
この調査では、医療資源として、医療従事者数、人口あたりの病床数、在宅医療施設数、国民健康保険の医療費を指標とし、統計をしてそれぞれと健康寿命との関連を調べました。
すると、特に男性では歯科医療費との関連が強く、年間1万円多く払う地域の人は他の地域の人よりも0.7歳も健康寿命が長くなるという結果となりました。
歯科治療を受ける人が健康になりやすい理由
どうして、歯科治療を受けると健康寿命が長くなるのか、その理由として次のようなことが考えられます。
よく噛めるようになることで心身を健康に保ちやすくなる
よく噛めることで、「体幹バランスが整って転倒しにくくなる→要介護になりにくくなる」「脳を刺激して認知症を防ぐ」「消化吸収が良くなり、胃腸が健康になる」など、体の健康に良い影響をもたらします。
歯周病が改善することで、全身疾患の予防になる
歯科治療を多く受けることで歯周病が改善し、歯周病菌が原因で引き起こす可能性のある肺炎や心疾患、脳梗塞、糖尿病、リウマチなどを予防できる可能性があります。
お口の細菌状態が良くなることでウイルス感染を防ぐ
お口のケアをしっかりと行っている人は、インフルエンザや新型コロナウイルスなどのウイルス感染症にかかりにくく重症化しにくい、ということが研究の結果わかってきています。
早期治療・予防で健康寿命を延ばしましょう!
歯の治療というと、「悪くなってから行く」という人がまだまだ多い傾向があります。口の中の状態が、悪くなっても放置してしまう人も少なくなくありません。
口腔内の炎症を起こす細菌が増加し、噛めない状態は病気リスクを増加し、健康に良くありません。定期的に歯科治療を受診し、虫歯や歯周病を積極的に予防していくと、お口の中は確実に健康になり、健康寿命も延びていくと思われます。