虫歯などで歯医者さんに通う患者さんの中には、仕事やご家庭の事情によって一時的に治療を中断したいという方もいらっしゃいます。
虫歯の治療では、削った歯の部分に仮歯を埋め込んで、後日治療の続きをすることが多いです。仮の歯でも治療前のように食事をすることはでき、見た目もそんなに遜色がないことから、仮歯のまま治療をストップしてしまう方も時にいらっしゃいますが、あくまで仮りの歯であって十分な治療が終わっているわけではありません。仮の歯のまま生活を続けていると、治療前よりも症状が悪化することがあります。インプラント治療の場合も同様で、仮歯のまま治療を中断し放置しておくと、症状が悪化してしまうことがあります。
そもそも、仮歯は何のために必要なのか
インプラント治療では、あごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を連結するためのアパッチメント部分、そして人工の歯を埋め込みます。人工歯根の部分はあごの骨の状態によって安定・不安定が分かれますが、大体半年くらいかけて骨と人工歯根が結合するのを待ちます。この期間、人工の歯の代わりに使用するのが仮歯になります。仮歯がないと、歯が抜けた状態になるため、見た目も悪くなるほか、隣の歯が動いたり歯茎の状態を整えるということができません。そのため、人工歯根が安定するまでの間、仮歯が必要になります。
仮歯はどれくらい使用可能か
仮歯は患者さんのあごの骨の状態によって使用期間は異なりますが、プラスチックで作られているため、早ければ1か月もしないうちにすり減ってきて、噛み合わせが変わってしまうということがあります。噛み合わせが変わることで、インプラントに想定以上の力が加わり、埋入した人工歯根が外れてしまうことがあります。そのため、仮歯はあくまで仮歯であることを忘れず、仮歯がすり減ったり、欠けたりしたらすぐに治療に向かうということが大切です。
何らかの理由で治療を中断した場合には
インプラント治療をしたけれど、何らかの理由によって治療を始めた歯医者さんに通えなくなってしまうということもあります。例えそのような場合でも、違う歯医者さんで別の歯科医に治療を再開してもらうことができます。その際には、診断書や治療に使用しているインプラントの器具などを新しい歯医者さんに伝えましょう。
インプラント治療は患者さんのあごやお口の中の状態によって、長期間の治療が必要になる場合もあります。しかし、治療途中で諦めてしまうことは症状が治療前より悪化してしまうこともありますので、治療を最後までしっかり行いましょう。