「奥歯が抜けたままになっている」「事故で歯が折れてしまった」「入れ歯がうまく噛めない」。
こういった場合、インプラントを検討することがあるでしょう。
しかし、インプラントは骨に金属を埋める治療法です。周囲の人からは、インプラントを勧められることもあれば、逆にやめといた方がいいと止められることもあります。いったい、どうしたらいいのでしょうか?
そこで、今回はインプラントについて詳しく紹介いたします。インプラントについて詳しく知った上で、検討してみてはいかがでしょうか。それに、インプラントにするには時間がかかると聞いたこともあるのではないでしょうか。インプラントには時間がかからない即時荷重という方法もあるので、併せて紹介いたします。
インプラントについて詳しく教えて!
インプラント治療は、まず歯の抜けたところにチタン製の人工歯根を埋め込みます。人工歯根が顎の骨に十分に根付いたら、その上に義歯を取り付けるのです。人工歯根が根付く期間は、上顎で5~7カ月、下顎で3~4カ月ほどかかります。その間は義歯を取り付けられません。
インプラントの良いところは、歯が抜けたところに、しっかりと根付いた人工歯根で作られた歯が戻ってくることです。人工歯根があるので、ほぼ自分の歯と同じ構造になります。入れ歯のように違和感もなく、毎日取り外す必要も、洗浄する手間もありません。部分入れ歯であれば、周囲の歯を削ることもありますが、インプラントでは不要です。そのため、残っている健康な歯に負担をかけない優れた治療法だといえるのです。
即時荷重ってなに?
通常は、人工歯根を埋め込んだ後に、顎の骨に根付くまで数カ月待ちます。この間は噛むことで荷重をかけてはいけないとされていました。しかし、数カ月も歯が無い状態では、食事で噛むこともままならないし、会話で言葉を発するのも不自由します。また、前歯など目立ちやすい箇所であれば、人に会って話すのも億劫になってしまいますよね。
しかし、コンピューターによる技術がめざましく発達し、インプラント製品も進化したことから、人工歯根を埋めたその日に義歯を装着できるようになったのです。義歯を装着した日から食事も普通にとることができ、会話での違和感もなく、人に会っても歯があるので安心して話せます。
また、遠方から通院する人や仕事が忙しくて通院が難しい人などにも向いている治療法といえるのです。
即時荷重って誰でもできるの?
条件1
一つ目は、インプラントを埋め込む顎の骨の状態が良いことです。インプラント治療は、顎骨にチタン製の人工歯根を埋め込むので、顎の骨には高さと幅があり、骨密度も充分にあるような硬い骨でなくてはなりません。条件に合った顎骨でないと、人工歯根が骨に入らないし、土台もしっかりしなくなります。
条件2
二つ目は、インプラントで埋め込んだ人工歯根と骨の安定性を測る数値で35~70Ncmあることです。適切な数値がないと、即時荷重できなくなってしまうのです。インプラントが確実に骨に固定されているかを測るもので、トルクレンチなどを使って測ります。
条件3
三つ目は、純チタン粗造表面のインプラントを用いることです。
インプラント治療で大事なことは?
インプラント治療をする前には、レントゲン撮影やCTスキャンで顎の骨の状態をみて、インプラントに適しているかどうかを判断します。
歯周病などで骨が薄くなっている人や、幅が無くなっている人がいます。顎の骨に厚みがないと、人工歯根を支えることができないからです。骨の厚みに加えて、骨の硬さも必要です。骨は老化や栄養不足、骨粗しょう症などの影響でもろくなっていきます。骨がもろくなっている場合も、インプラントは避けた方がいいでしょう。骨がもろいと、人工歯根を支えることができないからです。
また、歯と歯ぐきの状態も大切です。なぜならば、インプラントにすると自分の歯を守る以上に、丁寧な歯磨きや口腔ケアが必要となるからです。普段から歯磨きの習慣が身についていないのであれば、難しいかもしれません。とはいえ、自分の歯や歯ぐきや顎の骨の状態というのは、なかなか分からないものです。一度歯医者で診てもらって、相談してみてはいかがでしょうか。