すべての歯を失ってしまった方や、残っている歯があったとしても保存するのが難しい方に適した「オールオン4」は、必要最低限である4本のインプラントを埋め込み歯を繋げていく歯科矯正の方法です。
すべての歯をインプラントにした場合に比べて、体への負担も少なく時間も短縮することが可能なため、今とても注目を集めています。では、そのオールオン4の手術の流れについて、解説していきましょう。
治療の流れ
1、インプラントの埋入手術
オールオン4の治療では、歯茎を切開する「フラップ法」と、切開せずにパンチで穴を開ける「フラップレス法」があります。まずは、どちらかの方法でインプラントを埋め込む穴を開けて治療を行っていきますが、顎の状態によって埋め込む本数が増える場合もあります。
2、インプラントを埋め込む
インプラントをそれぞれの穴に埋めこんでいきます。そしてインプラントと人工の歯を連結させる役割を持つアパットメントという部品を装着していきます。この時に歯茎を切開した場合には、糸で歯茎を縫い合わせていきます。アパットメントの上部が歯茎の上に出ている段階で、外科的手術は終了となります。
3、仮歯を取り付ける
外科的な手術が終了したら、出血が落ち着くまでガーゼを噛み、30分~60分ほど休憩します。その後、噛み合わせの検査をしてから仮の人工歯(10本~2本)を取り付けていきます。仮のアパットメントを装着していた場合には、最終的なアパットメントに交換をして、人工の歯を取り付けていきます。
4、結合期間
手術後、埋め込んだインプラントが骨と結合するまで、期間をあける必要があります。骨や身体の状態によって異なってきますが、約1カ月~6カ月という期間が必要です。
5、人工の歯を取り付ける
結合期間が過ぎたら、仮の人工の歯を最終的な人工の歯に交換をします。そして、噛み合わせの検査を行い、歯医者さんがお口の中の状態が安定したと判断をすれば、定期検診へと移っていきます。手術後に腫れるか心配という方は多いかと思いますが、ある程度腫れないと、治りは逆に悪くなってしまいます。ピークとしては48時間ほどですが、当日から普段通りの食事をすることは可能です。歯肉を開かない「フラップレス法」の手術の方が、比較的腫れが少なくて済みます。
オールオン4はどんな人が向いている?
しかし、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症などの全身疾患がある方は、手術ができない可能性があります。また、年齢に限らず、全身疾患を抱えている方は、必ず歯医者さんに相談をする必要があります。
オールオン4のメリット
そして、気になるのは天然の歯と同じように噛めるのかという点ですが、天然の歯に近い噛み応えを得ることが可能でしょう。ただ、オールオン4は奥歯が一本足りないので、少し物足りなさを感じる方もいるかもしれません。しかし、今まで総入れ歯で好きなものを食べることができなかった方にとっては、非常に満足のいく治療法と言えます。
メンテナンスは大切
また、人工歯と歯列の状態によっては、歯磨きしにくい場合がありますので、ジェット水流洗浄器や音波歯ブラシなどの水流によって汚れを落とすという方法もあります。ご自身に適した清掃用具や使い方などは、掛かりつけの歯医者さんに相談をし正しい使い方を教えてもらいましょう。オールオン4を長持ちさせるには、メンテナンスは非常に重要なことです。