永久歯は、一度失うと二度と生えてくることはありません。
しかし、虫歯や歯周病やケガなどで抜歯しなければならないときがあります。
抜歯した後の歯医者の治療法のひとつにインプラントがあります。インプラントは人工の歯根をうえる治療ですが、インプラント治療って痛くないのでしょうか?痛いときはどうやって対処すればいいのでしょうか?
インプラントと痛み
手術中の痛みをとり除くために歯医者が行うのが、局所麻酔法と鎮静法です。そして、治療後の痛みをとるために使われるのが消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)、いわゆる痛み止めです。
局所麻酔法
表面麻酔法(ひょうめんますいほう)
表面麻酔法とは、ゼリー状やゲルタイプなど局所麻酔薬を使って歯肉の表面だけを麻酔する方法です。あくまでも歯肉の表面しか麻酔されないので、後述する浸潤麻酔法などの麻酔注射を併用する必要がありますが、注射のときの痛みを和らげる効果があります。
浸潤麻酔法(しんじゅんますいほう)
浸潤麻酔法とは、痛みを取り除きたい局所、インプラントの場合は、インプラント手術をする場所の歯肉に局所麻酔薬を注射して、その付近の痛みを取り除く麻酔法のことです。一般的にイメージされる歯科の麻酔が、これにあたります。数分で効いてくるという即効性があり、安全性も高いのが特徴です。もし、治療中に痛みを感じることがあれば、麻酔を追加することもできます。
伝達麻酔法(でんたつますいほう)
伝達麻酔法とは、脳から出てきた神経が顔の表面などに到達する途中に麻酔薬を注入して、より広い範囲に麻酔をかける方法のことです。伝達麻酔は、麻酔が効いてくるのに数十分かかるのですが、麻酔の効果が高い上に、持続時間も長いという特徴があります。
3局所麻酔の持続時間
麻酔の効いている時間は、麻酔の方法によって異なります。表面麻酔法では数分から10分程度です。浸潤麻酔法では2~3時間程度です。下顎よりも上顎の方がより効きます。伝達麻酔法は、さらに長く6~8時間程度効果が続きます。もちろん個人差はありますので、早くさめる人もいれば、さめるまでにもっと時間がかかる人もいます。
鎮静法(ちんせいほう)
鎮静法を用いると、インプラント手術などの恐怖感や不安感を和らげ、リラックスした状態で治療を受けることが出来るようになります。鎮静法に使われる麻酔薬にはガスを吸うタイプと薬を注射するタイプがあり、前者を吸入鎮静法(きゅうにゅうちんせいほう)、後者を静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)といいます。なお、この区分は歯科独特のもので、医科ではどちらも単に鎮静法とだけ呼び、区別していません。
鎮静法のメリット
鎮静法をインプラント手術に用いると、患者さんの緊張を緩和してリラックスした状態にすることが出来ます。これによって血圧の上昇や狭心症の発作を防ぎ、安全に手術を受けることが出来ます。緊張を緩和することで、長時間におよぶインプラント手術も落ち着いて受けられるようになります。治療中にえずきやすい傾向がある場合には、えずきにくくする効果もあります。
鎮静法のデメリット
鎮静法だけでは、手術中の痛みをとることは出来ません。あくまでもリラックス効果を得るためのものです。もちろん、全身麻酔のように意識を失うこともありません。ですので、局所麻酔の注射が必要となります。なお、てんかんを持っている患者さんには使うことが出来ません。
術後の痛みをとるために
どのタイプの消炎鎮痛薬であっても、どちらの使い方も出来ますが、強い痛み止めを毎食後に定期的に使うことはあまりありません。大抵が、飲んでから効いてくるまでに30分ほどかかります。また、頓服は連続的に飲むことは出来ません。飲む間隔は、6時間程度あけておく必要があります。飲み薬タイプの痛み止めでは痛みがコントロールできないときは、坐薬の痛み止めを使うこともあります。坐薬の方が、飲み薬タイプよりも早く効く上に、効果も強いです。
なお、インプラント手術を受けたところを氷水等、冷水を使って強く冷やすのはよくありません。かえって治りを悪くする原因になります。もし、冷やしたい場合は、水道水程度の温度の水で冷やすようにしてください。
まとめ