通常、インプラントを利用するためには歯茎を切開するなどの手術を必要とします。
大掛かりなものではないとは言え、「手術を受ける」というのは抵抗がありますよね。もし、切開せずにインプラントを利用できるとしたら、インプラント治療に踏み切るきっかけになるのではないでしょうか。そこで今回は「無切開インプラント」について解説します。
そもそも「インプラント」って何?
インプラントの場合は、これらとは大きく異なる固定方法を採用しています。インプラントは人工歯の他に2つのパーツを用います。一つは、歯を固定する骨に埋め込むパーツ、もう一つはそのパーツと人工歯をつなぐパーツです。鍵となるのは骨に埋め込むパーツであり、骨との親和性が高いため最終的に骨とくっついて固定されます。この仕組は天然歯と似たようなものであり、食事などにおいても違和感なく生活できるという大きなメリットがあります。
ただし、インプラントを骨に埋め込む際には手術を必要とします。まず歯茎を切開し、骨を露出させます。次に、骨にインプラント用の穴を開けて、そこにインプラントを埋め込むという仕組みです。
無切開インプラントの仕組み
このテンプレートは、インプラントを埋め込む場所を正確に教えてくれるツールとなります。また、歯茎を切開せずにそのまま骨に穴を開ける行程に移ることができます。骨やその周囲の状況が良好であれば、その日のうちに「仮歯」を装着することも可能です。あとは採取した歯型データから本格的な人工歯である「上部構造」を装着して、治療は完了します。
本来であればインプラント埋め込みの時に切開した歯茎を縫合して、治癒後に固定されたインプラントを露出させるために再び切開しますが、無切開インプラントではこれらが省略されます。
無切開インプラントのメリット
第二に「手術時間を短縮できる」ということでしょう。テンプレートの働きによって歯茎の切開を省略できるため、手術にかかる時間が短縮されます。手術時間が短くなることによって患者さんの精神的な負担も軽減されるでしょう。
第三に「出血量が少ない」ということです。歯茎を切開する場合、相応の出血量は回避できません。加えて手術後は食事内容次第で傷口への刺激や細菌感染のリスクを高めますが、無切開インプラントではそのリスクも軽減されます。
第四に「メスを使用しないという安心感」ではないでしょうか。メスで切られるというのはどうしても抵抗を感じることになります。無切開インプラントではメスを使用しないため、手術時間短縮だけでなくさらに精神的負担を軽減できるのです。
無切開インプラントの問題点
次に「口の開口状態」についてです。口の中で手術を行う以上、どうしても口を大きく開ける必要があります。もし、口を大きく開けることができない理由がある場合(顎関節症など)、手術どころか手術前の歯型の採取すら困難になります。
こうしたリスクがありますので、無切開インプラントを受ける際には担当医との入念な話し合いが必要になります。無切開インプラントだけに限った話ではありませんが、歯科治療は担当する歯科医師の技術や経験によって治療の品質が大きく左右されます。経験の足りない歯科医師だと、無切開インプラントのメリットを十分に発揮できない可能性もあります。そのようなことにならないためにも、無切開インプラントや通常のインプラント手術の経験が豊富な歯科医師がいる歯医者さんを探すところから始める必要があるでしょう。