皆さんはインプラントという治療法についてどういう認識でいますか?
多くの患者さんは「一度埋めれば一生持つ」と思っている方が多いのではないでしょうか。実はそんなことありません。機械や家電製品でもメンテナンスをしなければ不具合が来るのと同じでインプラントもメンテナンスが大切になります。インプラントの技術を応用しているオールオン4も同じです。
安いとは言えないオールオン4の寿命にはメンテナンスが非常に重要です。実際にどのようなメンテナンスを行うのが良いのかについてやメンテナンスの重要性について説明していきます。
最も大切なセルフケア
では、具体的にセルフケアとはどういったものがあるのでしょうか。方法も合わせて紹介していきます。
歯磨きができているか
第一に歯磨きをすることはセルフケアの根底にあります。オールオン4はインプラントを4本埋めてその上にブリッジを被せています。歯はありませんがインプラントのボルトと歯茎は交通しているので清潔に保たなければいけません。歯磨きをするときは歯茎を傷つけないようにやわらかな毛先のブラシを選ぶようにしましょう。そして歯茎とインプラントの埋めてある部位近辺を丁寧に小刻みに磨くようにしましょう。ブリッジについている食べかすを除去することも大切です。この時もあまり強い力で磨くとブリッジの表面に細かな傷がついてしまい、その傷へプラークが入り込み細菌の温床となりかねないので注意してください。
洗口剤や清掃補助器具の使用
オールオン4は全てが繋がっているブリッジをインプラントの上に被せます。それなので歯と歯の間という概念はありません。しかし、ブリッジとインプラントの間には空隙があります。ここへプラークや汚れが溜まりやすくなるので、洗口剤や水流ジェットブラシ・細かなところを磨くことに長けているワンタフトブラシを使用するようにしましょう。これらは清掃補助器具とも呼ばれていて歯ブラシと併用すると清掃率を大きく上げることができます。
歯医者での定期検診
実際に定期検診ではどのようなところをチェックするのでしょうか。
噛み合わせ
オールオン4は一塊となっているブリッジをインプラントの上に被せています。それなので噛み合わせを調整するのが非常に難しいです。定期的に変化する患者さんの噛み合わせにあっているかを定期的に検査するのは大切です。天然歯は歯の根っこに歯根膜という膜があります。歯根膜は歯にゆとりをもたせていて、噛んだときに少し歯を揺らすことでダイレクトに噛む力が伝わらないようにしていますがインプラントには歯根膜がありません。噛み合わせを正しく調整するのは大切なことです。
インプンラントの緩み
インプラントは骨としっかり結合しているはずですが、たまに緩んでくることがあります。原因はただの緩みではなく骨が溶け始めていることが多いです。インプラントが緩んでいるかどうかを早期にチェックしておくと早めの治療でインプラントを残すことができるかもしれません。
インプラントと骨の結合
インプラントのボルトと顎の骨はオッセオインテグレーションという強固な結合をしています。オールオン4ではインプラントと骨の結合が悪いとブリッジ全体もグラグラしてしまうので結合は定期的に検査しなければいけません。定期検診ではインプラントの状態を確認するためにレントゲン撮影を行うこともあります。
破損がないか
ブリッジ部分に破損があると口の粘膜を傷つけることがあります。患者さんが気付いていない場合が多いのでブリッジやインプラントに破損がないかもチェックします。
磨き残しの有無
磨き残しがある場合、ブリッジの下部(粘膜とブリッジの間)に炎症が見られます。またブリッジにプラークが付いていないか必要に応じて染め出しもします。
定期検診を怠ると・・・
例えばインプラントの歯周病と呼ばれる「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎はインプラントのボルトの周りの骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが外れてしまいます。せっかく時間をかけて自分の口の一部になろうとしていたオールオン4が抜けてしまうのはもったいないですよね。
そうはならないためにも定期検診には必ず通い、違和感やいつもと違うところを感じてもすぐに歯医者を受診するようにしてください。