歯を失い、噛むことに不自由さを感じている方が失った部分を修復する方法として、もっとも自身の歯に近い性能が期待できる治療法がインプラントです。
そこで、誰でも受けることができるのか、治療に関してできる年齢・できない年齢といったような「適正年齢」について考えてみました。インプラント治療をお考えの方はぜひ参考にご覧ください。
インプラントの適性年齢の幅とは?
とはいえ、やはり適正な年齢の幅はある程度目安があります。インプラント治療を受ける適正年齢に関して、しっかりと把握されることをおすすめします。
若年者は顎の成長が完了してから
96年にスウェーデンで「若年者に対するインプラント治療」についての会議により、インプラントが顎骨の成長には対応できないということから、インプラント治療を受けるのは20歳以降が望ましいとされています。顎の骨が成長を完了しないうちに装着した場合、その部分の骨の成長を妨げてしまうことになる可能性があるためです。
ただし顎の成長が完了する時期は個人差があるため、まずは歯科医院に相談して治療開始時期を診断してもらうようにしましょう。
高齢者は80歳をめどに要相談
全身的な健康状態が良好で安全に手術を受けることができる方であれば、インプラント治療を受ける上限年齢というものはありません。
ただし高齢者の場合は若年者に比べ、さまざまな身体へのリスクはあります。そのことを加味し、80歳をめどにインプラントを避けた方がよい年齢とされています。ただしこちらも個人差があり、あくまでも目安ですので、お口の状態や全身状態も併せて、歯科医院で診査・診断を受けられることをおすすめします。
高齢者のインプラント治療において考えられるリスクとは
持病を抱えている場合が多い
高齢者の方は高血圧や糖尿病、骨粗しょう症、脳梗塞などを患っている方も多くいらっしゃいます。このような場合、手術自体をおこなえない場合が多く、インプラントでの修復は根本的にできないということになります。
インプラント手術に耐え得ることが難しくなる
年齢を重ねると代謝が低下し、傷などを治す能力も低下してしまいます。インプラントは顎の骨に人工的な装置を埋め込む手術が必要です。歯ぐきを切開したり顎の骨を一部削るといった処置を受けるため、治療後に何らかのトラブルを起こす可能性が高くなります。術後、術部の腫脹や細菌感染などを起こしやすく、そうなるとインプラントが安全に定着する可能性も低くなってしまいます。
治療後のメンテナンスが可能であるかどうか
現在の生活において、全身的な体調や状態が良好で、且つ自身でのメンテナンスや定期的に歯科医院へメンテナンスに通うことができるかどうかも関係します。日常生活の中でメンテナンスをご自身でおこなえないのであれば、手術が可能であったとしても維持することが難しいと考えられるからです。
実際にインプラント治療を受けた年代の統計から見えるもの
年代別インプラント治療患者の統計
・20代 1名
・30代 23名
・40代 105名
・50代 264名
・60代 280名
・70代 82名
・80代 16名
※五十嵐一 歯学博士 著書「ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア」参照
上記より、40代~60代の治療率が圧倒的に多く、50代前後になると歯を喪失する人が増える現状が推測されます。
40代~60代が歯を失いやすい原因とは?
男性は仕事に関して不規則な労働時間や過度の勤務により、お口に関するケアもままならない状況。また、もし違和感をかんじたとしても、歯科を受診する時間確保も難しい年代だと推測されます。
また女性に関しては、子育てや家事に追われたり仕事と育児の両立に追われるなど、自分のことは二の次。歯のメンテナンスにかける時間もないという年代だと推測されます。
このように、年齢をかさねる中で歯に負担を抱えやすい時期であることが、歯を失いやすくなってしまう原因だと考えられます。
70歳以降のインプラント希望者が減る理由
年齢を重ねるにつれて歯を失うリスクは高くなるため、70歳以降も受診率が高くなると考えられます。しかしなぜ70歳以降が減少しているのでしょうか。
それは、70歳以降になると、「治療を受けたくても受けられない理由」が増えてくる年代だからです。そう考えると、インプラントを受ける時期としては60歳位までに受けるのが、お口にも全身的にも一番望ましいということがわかります。
まとめ
今回ご紹介した適正年齢を参考に自身の状況も加味したうえで、まずは歯科医院へ相談されることをおすすめします。