白くて美しい歯並びが手に入れられることで人気のインプラントですが、治療には不安を感じている人も多いのでは。
今回は、「インプラントって痛いの?」「治療後の腫れってどのくらい?」など、インプラント治療に関するさまざまな不安や疑問にお答えします。
インプラント治療には、外科的な手術が必要
歯茎にインプラントを埋め込むためには、外科的な手術が必要となります。手術時間はおよそ10分~1時間程度と短時間で終わります。長時間にわたる手術ほど出血が多くなり、患者さんの負担が大きくなりますが、治療中は麻酔をしますので痛みを感じることはありません。痛みを感じなくても治療自体が怖いという人には、点滴で麻酔薬を少しずつ注入する「静脈内鎮静法(無痛点滴麻酔)」によってリラックスした状態を作り、うたたねのような心地よさのなかで、手術することも可能です。立体的に撮影できるCTスキャンなどを導入して、効率的に短時間で手術を済ませる歯科医院も増えています。
インプラント手術、術前・術後の注意点
1.極度の疲労や体調不良のときに手術を受けない
手術前の深酒や極度の疲労、寝不足など、体調不良のときは体力が低下しているので、手術による負担が大きくなります。手術中に具合が悪くなる、術後の傷の治癒やインプラントとアゴの骨の接着が悪くなる、といった悪影響を引き起こすので、インプラント手術の前日は安静にして、十分な睡眠をとるようにしましょう。
2.禁煙する
喫煙者のインプラント失敗率は、非喫煙者の2倍ともいわれます。これは、歯ぐきの毛細血管が収縮して血行が悪くなるので、抜歯後の傷の治りが遅くなるためです。さらに、喫煙は歯周病の進行にも影響を及ぼすとも言われています。喫煙者と非喫煙者を比較した場合、10年間で喫煙者は非喫煙者の約3倍の歯を失うという調査データもあります。歯周病で天然歯が抜けたため、インプラント手術をすることになったという人も多いでしょう。再び同じことを繰り返さないためにも、そういう方はとくに、インプラント手術をきっかけに禁煙するようにしましょう。主治医に相談の上、禁煙外来を紹介してもらうこともよいでしょう。
3.バランスのよい食生活を心がける
バランスのよい食生活を心がけましょう。きちんと食事をとることで体力がつき、術後の傷の治りも早くなります。インプラント埋入後、しばらく流動食となる患者さんの場合も、医師と相談の上、できるだけバランスのよい食生活を意識してください。
4.仕事復帰は体調と相談
インプラントの術式の中には、「オールオン4」のように、手術当日に仮歯をかぶせることができるものもあります。インプラントをした翌日は、できるだけ激しい運動や人前で話す、口を使うと言った行為は避けるべきですが、痛み止めを飲みながらのデスクワーク程度でしたら、体調によっては可能です。仕事復帰のスケジュールは、主治医となる歯医者さんや自分の体調とよく相談して決めましょう。
5.ホームケアを怠らない
高い治療費をかけてインプラント手術を受けるのですから、アフターケアをきちんとして、できるだけ長持ちさせたいですよね。インプラントを埋入すると、一年に数回、歯医者さんで定期検診とクリーニングを受けることになります。プロによるケアを受けているからいいや、と気を抜かず、毎日自宅でもホームケアを怠らないようにしましょう。特別なケアは必要ありませんが、歯ブラシや歯間ブラシなどを使用して毎日きちんと歯をみがきます。
歯のまわりに食べかすや歯垢がたまってプラークになり、歯茎の腫れを引き起こすことがあります。この症状は、「インプラント周囲炎」と呼ばれています。インプラント周囲炎が進行した場合、インプラントが抜けてしまうこともあります。