インプラント治療は、非常に魅力的な補綴治療ですが、入れ歯のようにすぐ噛めるようになるのか心配な方も多いでしょう。
実際、インプラントを顎の骨に埋め込んだ後は、しばらく安静にしておかなければいけないという話はよく耳にします。けれども、インプラント治療の一種であるオールオン4であれば、手術した当日から食事することも可能なケースが多くなります。ここではそんなインプラントのオールオン4に関して、食事ができるタイミングや固いものも食べられるようになる時期を詳しく解説します。
オールオン4ってどんな治療?
オールオン4は、インプラント治療の一種で、すべての歯を失った症例に適用される治療法です。一般的なインプラントは、1本の歯を失った際に、1本の人工歯根を埋め込んで、人工歯を被せますが、オールオン4では、4本のインプラントを顎の骨に埋め込みます。そして、12本の人工歯が並んだ総入れ歯のような上部構造を装着します。そのため、一見すると総入れ歯に近い形態ではありますが、噛み心地や審美性などは天然歯に近いといえます。そんなオールオン4は、なぜ手術当日から食事をすることができるのでしょうか。
手術当日に仮歯を装着できる
オールオン4では、インプラントを埋入するオペ当時に、仮歯の装着まで行うことができます。あくまで仮の歯ですので、見た目や噛み心地は最終的な上部構造とは異なりますが、食事をする程度の強度は兼ね備えています。手術をしたその日の夜に、食事をしても何ら問題はないのです。ただし、私たちの歯というのは、人体で最も固いエナメル質で覆われているため、おせんべいやナッツといった固い食べものを噛んでも問題ありません。また、オールオン4の治療で最終的に装着する上部構造も、エナメル質に近い固さを備えた人工歯が設置されていますので、固いものを日常的に咀嚼しても大丈夫です。けれども、オールオン4の仮歯に関しては、それほどの強度はないため、極端に固いものは控えた方が賢明といえます。
手術当日に食べても良いもの
手術当日は、インプランを埋め込んだ部分がまだ治癒しておらず、無理をすると傷口が広がってしまう可能性があるため、やわらかいものだけを選んで食べるようにしましょう。よく噛まなければ咀嚼できないようなものは控えましょう。無理をして、たくさん噛んでしまうと、傷口の治りが遅くなるだけでなく、インプラントが顎の骨と結合するのを妨げることにもなりますので、要注意です。とはいえ、飲み物やスープだけというわけではなく、少し噛むことで飲み込めるものであれば傷口への負担は少ないといえます。
固いものはいつから食べられるの?
食べ物というのは、噛み応えのあるものの方が美味しいですよね。それだけに、オールオン4の手術をした後、どのくらい時間が経過すれば固いものも食べられるようになるのか気になるところです。これに関しては、患者さんお一人お一人のお口の状態などによって変わるものですから、一概にいうことは難しいです。ただ、一般的な期間としては、1ヵ月半もすればそれなりに固いものも食べられるようになるといえます。その頃になると、顎の骨に埋入したインプラント体も安定してきます。けれども、仮歯の期間中は適度に固い食べ物くらいにとどめ、極端に固いおせんべいやナッツなどは控えることが大切です。
上部構造が完成したらしっかり噛めるようになる
インプラント体が顎の骨に定着し、上部構造を装着したら、いよいよ何も気にせずに噛めるようになります。上部構造を装着する時期については、インプラント歯科の歯医者に問い合わせる必要がありますが、1年もかからないことがほとんどです。
おそらく、具体的な時期についてはカウンセリングの段階でも説明があるかと思います。同時に、上部構造を装着後も食べてはいけない食事に関する注意事項もインプラント歯科の歯医者から説明されるかと思いますので、その点はきちんと聞いておきましょう。
オールオン4の上部構造に用いられるセラミックなどは、とても硬くて丈夫な素材なのですが、場合によっては欠けてしまうこともあるのです。もちろん、人工歯が欠けてしまっても、上部構造は取り外すことができますので、修理もそれほど難しくはありません。けれども、極端に固いものを噛むということは、インプラント体にもそれなりの負担がかかっているということも意識しておきましょう。
まとめ
オールオン4は少し特殊なインプラント治療となっていますので、手術当日から食事ができることも珍しくありません。
固いものも、手術後1ヵ月半くらい経過すれば、ある程度食べられるようになりますので、おすすめの治療法です。「噛む」という行為は、食事の満足感にもつながる重要なものですので、それをしっかりと行えるようになるオールオン4は、非常に優れた補綴治療といえます。