インプラントでは、治療の過程で仮歯を装着する期間があります。
仮歯も一般的なクラウンと同じような色や形をしているため、一見すると最終的な補綴物のように見えますが、あくまで仮の歯でしかありません。そんな仮歯のまま治療を中断すると、非常に危険な状態に陥ることがありますので要注意です。ここではそんなインプラント治療における仮歯の役割と、治療を中断した場合のリスクについて詳しく解説します。
インプラントの治療の流れ
インプラントの仮歯の役割
次に、インプラントの仮歯は、両隣の歯が動くのを防ぐ役割も果たします。私たちの歯は、隙間があるとそれを埋めようとする傾向があり、インプラントオペ後の隙間も両隣の天然歯によって塞がれることが考えられます。そこで仮歯を装着しておくことで、のちのち装着する最終補綴物のスペースを確保しておく役割を果たします。
そして、仮歯を装着することで、歯列の中に欠損が生じることがなくなるため、かみ合わせや顎の働きを安定させることにもつながります。これは「かむ」という機能を維持する上で非常に重要といえます。さらに、最終的な補綴物の形態に近い人工歯である仮歯を装着しておくと、歯茎の形を適切な状態で維持することにも寄与します。
仮歯のまま治療を中断することの危険性
まず、仮歯のまま治療を中断して生活を送っていくと、段々と仮歯が摩耗していきます。仮歯には、セラミックのような素材は使われておらず、多くの場合、摩耗しやすいレジンを活用しています。これはレジンが安価であるという理由からだけでなく、ある程度調整が効く素材の方が、仮歯としての役割を果たしやすいためです。ですから、仮歯のまま生活を送っていくと、徐々に摩耗してかみ合わせが変わるだけでなく、見た目も悪くなっていきます。場合によっては、変色もしますので要注意です。
さらに大きなリスクとしては、摩耗あるいは変形してしまった仮歯を装着し続けることで、インプラント体に強い負担が加わるようになり、インプラント体の脱落を引き起こすことさえあり得るという点です。高額な費用と手間暇をかけて埋入したインプラント体が、仮歯を使い続けることで抜け落ちてしまうのは、あまりにも惜しいことです。また、適合の悪い仮歯を装着していると、顎の骨や歯茎の吸収が起こることがありますので、こちらも要注意です。歯周組織が吸収してしまったら、そもそもインプラント治療が失敗に終わることとなります。
仮歯に異常が生じたらすぐに歯科を受診
まとめ
もしも仮歯のまま治療を中断してしまうと、数ヵ月にもおよぶインプラント治療そのものが台無しになってしまうことも十分あり得ますので要注意です。とにかく大切なのは、歯医者の指示を守り、仮歯の期間中も適宜歯科医院を受診することです。インプラント治療を行っている歯科医院であれば、治療に伴うトラブルへの対応も慣れていますので、安心してお口の健康を預けることができます。