オールオン4という治療法をご存知ですか?
インプラント治療が日本で行われるようになってから、その応用編ということで根強い人気がある歯科治療法のひとつです。オールオン4という言葉通り、すべての歯を4本のインプラントで支えるこの治療法は今まで入れ歯が合わない・入れ歯は使いにくいと悩んでいた患者さんにとっては画期的な治療法となりました。インプラントと違い歯が全く無い患者さんにも適応できますし、手術時間もインプラントに比べると短いので患者さんの負担が軽いです。
さらにインプラントは高くてすべての歯に応用できませんでしたが、インプラント治療をベースにした治療法なので多くの患者さんに安心して受けてもらえます。今回はオールオン4という治療はどんな患者さんにお勧めできるのか、そして総入れ歯とオールオン4はどのように異なるのかを説明していきます。参考にしてみてください。
オールオン4の特徴
しかし、インプラントを埋めて安定感を得るというのは通常のインプラント治療とそこまで差異がありません。インプラントとオールオン4の明らかな違いについて紹介します。
顎の骨が薄くても治療できる
インプラントは顎の骨に十分な厚みがなければ埋めることができませんでした。しかし、オールオン4では顎の骨に厚みがなくても斜めに埋めることで厚みを確保しています。人の骨は加齢とともに減少していきます。顎の骨でも同じことが起きるので、加齢になると歯を支える骨が少なくなるのもあり、歯が抜けやすくなるのです。
開口量が少なくても治療できる
インプラント治療では口の中でボルトを埋め、骨を削り、被せ物を装着します。よって、口が大きく開く患者さんの方が治療がしやすかったです。オールオン4はインプラントを斜めに埋めることができるので開口量が大きくなくても治療することが可能です。また、被せ物もブリッジを装着するだけなので開口量は必要ありません。
歯が全くなくても問題無し
オールオン4は歯が全くない患者さん向けの治療方法です。インプラントは少数歯欠損の患者さんが主に適用する治療法です。患者さんの無くした歯の本数に応じて治療法を選択するようにします。
治療費は安い
インプラントは1本のボルトに1歯を被せていました。インプラント治療で一番お金のかかるのが埋める技術料とボルトの本体価格です。多数歯欠損している患者さんでは片顎で20本近く埋めなければいけませんでしたが、オールオン4は4本埋めれば治療が完了します。その分価格は安く抑えることができるのです。
オールオン4が向いている人
噛むと粘膜が痛む
粘膜と吸着させていると使用しながら顎の粘膜や骨が痩せていく傾向があります。総入れ歯の形は落としたり、削らない限りは不変のものですが粘膜が変化していけば不適合になります。合わない総入れ歯を使用すると粘膜を痛めてしまう原因になります。
噛み切れない
粘膜だけで安定させているので噛む力は全て自分の歯だった時の1/10程度になります。繊維の多い肉は噛み切れないことがあります。
外れやすい
総入れ歯は口の粘膜との間に唾液を介在させ陰圧にすることで吸着させています。安定感という面ではあまり保証できず、使用中に外れてしまうことも多いです。
気持ちが悪くなる
総入れ歯は粘膜全体を覆うように設計されます。この時、上顎の軟口蓋を刺激すると嘔吐反射が起きることがあります。嘔吐反射があるためせっかく総入れ歯を作っても使用しないという患者さんが多く存在しています。
以上のような悩みを抱えている人はオールオン4を選択肢として考えてみても良いです。
総入れ歯と比較したオールオン4
噛む力は強い
オールオン4はインプラントの技術を応用しているので噛む力は総入れ歯よりも強いです。
嘔吐反射がない
総入れ歯のように粘膜全体を覆うことはないので嘔吐反射は起きません。
安定している
インプラント同様、顎の骨とボルトが結合していてその上にブリッジを装着しているので外れるという心配は少ないです。
なくさない
たまに患者さんでいます。「入れ歯を無くした」「朝起きたら入れ歯がなくなっていた」という方が。オールオン4は口の中で固定されるのでなくなるリスクがありません。
オールオン4は目覚ましく画期的な治療法ではありますが、インプラントの技術力のある歯医者さんに行ってもらわなければ逆効果になります。事前にインプラント治療やオールオン4治療に精通している歯医者さんかどうかを調べてから行くようにしましょう。