インプラントは歯を失った部分を修復する装置の中でも入れ歯やブリッジに比べて操作性もよく、天然歯と変わらない機能回復ができる装置と言われています。
しかし中には、治療後にインプラントが動くといったトラブルが起こることもあるようです。インプラントが動いてしまう原因やそうならないためにはどうしたらよいのかを考えてみましょう。もしも動いてしまうようになった場合、どのような治療を施すのかも併せてご紹介します。
インプラントが「動く」原因
人工歯と人工歯根との接合部の緩み
実はインプラント体が揺れているのではなく、上の被せ物が揺れているということが考えられます。インプラントは支える顎の骨に強い力が集中しないように被せ者とインプラント体はネジのようなものでつないでいます。その接合部分が緩み、全体が揺れているように感じる可能性があります。
インプラント周囲炎に罹ってしまった
インプラント治療後、周辺の歯ぐきなどの組織が炎症を起こしてしまうと、インプラント体が顎の骨との結合がうまく定着してくれません。この症状を「インプラント周囲炎」といい、インプラント体が抜け落ちてしまうこともあります。
強い歯ぎしりや食いしばりする癖がある
天然歯は顎の骨との間に歯根膜(しこんまく)というクッションがあり、衝撃を緩和する役目を持っています。しかし、インプラントは骨と直接結合させるため、噛むと強い負荷が直接かかります。強い歯ぎしりや食いしばりを無意識におこなってしまう癖のある方は、インプラントに負担がかかり、抜けてしまう原因になることがあります。
噛み合わせのバランスが合っていない
インプラント自体は一度埋め込んだ場所から動くことはありません。しかし天然歯は何らかの要因で数十ミクロンですが動くことはあります。この調整がうまくできていないと、噛み込んだ際に天然歯が若干動き、インプラントへすべての負担が大きくかかり、破損や摩耗の原因となってしまいます。
どうする!? インプラントが動くことの対処方法
人工歯と人工歯根との接合部の緩みが原因の場合
揺れの原因が被せ物の接合部の可動域の範囲であった場合、噛み合わせや日常生活に問題が無い程度であればそのまま様子を見ることもあります。もしもだんだんネジが緩み外れてしまうことがあっても、そのタイミングで調整して付け直せば大丈夫です。
インプラント周囲炎が原因の場合
人工歯とはいえ、メンテナンスを怠れば歯周病と同じ原理がおこります。予防のために毎日のブラッシングはもちろんのこと、定期検診を受け歯科医院でプロのメンテナンスを受けることが大切になります。
特に天然歯を失った理由が重度の歯周病であった場合、生活環境の改善がなければ、再度発症する可能性が高いと思われます。もしもインプラントが抜けてしまった場合でも、顎の骨が残っていれば再手術も可能になるケースがありますので、歯科医院にご相談ください。
強い歯ぎしりや食いしばりが原因の場合
自身で意識的に辞める事ができればよいのですが、無意識におこなっている場合は難しいため、定期検診でインプラントに負担が出ていないかチェックしていくことが大切です。
特に負担がかかるような癖があるのですから、定期検診をサボってしまうと症状に気付かず進行してしまう可能性もあります。無意識におこなう歯ぎしりや食いしばりを改善する治療法も同時進行する必要性がある場合もありますので、少しでも気になる場合は放置せずに、歯科医院に相談しましょう。
噛み合わせのバランスが合っていない場合
噛み込んだ際の天然歯の可動域を考慮し、軽く噛んだ程度ではなく、しっかり噛み込んだ状態の時に天然歯とインプラントの人工歯がしっかり当たるように調整されることが望ましいと考えられます。
咬み合わせの調整不足によってインプラントの負担が生じているかどうか、自身で気付くことは難しいため、しっかりと定期的にかかりつけ歯科医院のメンテナンスを受けることが大切です。
まとめ
お口はとても繊細で緻密に計算されたバランスの中で成り立っています。そこに人工物を入れるのですから、いくら万能なインプラントといえどもメンテナンスや管理をしっかり行わないと、長持ちさせることが難しいのです。
治療が終了したら、歯科医院での説明やケア法をしっかり確認し、定期的なメンテナンスを受けることを心掛けましょう。