インプラント治療は、失った歯を補う方法として非常に優れた治療法です。
しかし現在の医療制度ではインプラント治療は保険が適用されず、費用が全額自己負担であるためハードルが高く感じる方も多いでしょう。ただ、インプラント治療にかかった医療費については医療費控除の対象となり、納めた税金の一部が還付されます。
今回はインプラント治療における医療費控除について、制度の内容や申請の方法などを詳しくご紹介したいと思います。
医療費控除とはどんな制度?
インプラント治療における医療費
インプラント治療においては実際にかかった治療費のほかに、インプラント治療を受ける際に必要な検査料や診断料、薬代なども医療費に含まれます。
そして医療費には通院にかかった自身の交通費や、付き添いの方の交通費も含むことができます。ただし公共の交通機関を使用した場合のみで、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
以上の費用については申請の際に領収書やレシートの提出が必要になるため、医療費控除を申請する予定のある方は必ず保管しておく必要があります。交通費に関しては交通機関を使用した日付や区間、金額をメモに取ったり、ICカードを利用した場合は明細書をダウンロードしておくと良いでしょう。
ローンで分割払いにした場合でも申請ができる
インプラント治療のように医療費が高額になると、支払いをクレジットカードや歯科ローンなどを利用して分割払いをするケースがあります。この場合でも医療費控除の申請を行うことは可能です。
ローンで支払う場合の医療費は、ローン契約が成立した年に医療費控除が適応されます。ただし、ローン支払い時に発生する金利や手数料は医療費に含むことはできません。
医療費控除の手続き方法
手続きは最寄りの税務署で行う
医療費控除の申請は、医療費が発生した翌年の確定申告の際に最寄りの税務署で行います。確定申告は毎年2月16日から3月15日まで行われ、この期間に必要な書類等を税務署に持参するか、もしくは郵送でも手続きは可能です。また近年ではインターネットによる電子申告でも受付が可能になっているため、平日に休みのない方でも安心して申請ができます。
申請に必要なもの
医療費控除の申請を行う場合は、まず税務署で申請に必要な書類(医療費明細書・確定申告書A様式など)を受け取って記入する必要があります。
書類に関しては税務署にて医療費控除を行う旨を伝えれば、必要な書類をすべて用意してもらえるので初めての方でも安心です。また郵送で取り寄せたり、インターネットで所定の書式をダウンロードすることもできます。
そのほかに以下のものが申請の際に必要となります。
・源泉徴収書
・医療費のレシートや領収書
・保険金で医療費が補てんされた場合、その金額がわかるもの
・交通費の記録
・申告者の口座番号
・印鑑
申告し忘れていても過去5年間までさかのぼって控除は受けられる
もし申告時期に申請をし忘れても、医療費控除は過去5年間までさかのぼって申請を行うことができます。ただし申請するためには、医療費がかかったことを証明するレシートや領収書が必要です。医療機関を受診した際のレシートや領収書はすぐに捨てないようにしておきましょう。
どのくらいの金額が還付されるのか?
では実際にどのぐらいの金額が返ってくるのかが気になるところですが、還付される金額は以下の算出方法で決定されています。
医療費控除額の算出
まずは医療費控除の対象となる金額を算出します。算出方法は以下の通りです。
総所得の金額が200万円以上の場合
医療費控除額=実際に払った金額-保険金などで補てんされる金額-10万円
総所得の金額が200万円以下の場合
医療費控除額=実際に払った金額-保険金などで補てんされる金額-総所得金額の5%
なお、医療費控除額は最高で200万円までが控除の対象です。
還付金の算出
上記で求めた医療費控除額に申告者が納めた税金の税率をかけたものが、実際に手元に返ってくる還付金の金額です。税率は課税される所得金額に応じて異なります。
例えば年収500万円の方の場合、税率(所得税)は20%となり、インプラント治療にかかった費用が40万円とすると、上記の計算方法で算出された6万円の還付金が返ってくることになります。(保険金などの補てんが0円の場合)
まとめ
ただ医療費控除を利用すれば、払った医療費の1割から2割程度は還付金として戻ってくる場合があります。さらに詳しい申請内容については、お近くの税務署などでお尋ねください。