煙草を吸われる方は年々減少傾向にありますが、まだまだ愛煙家の方も多くいるのも事実です。
喫煙は、健康はもちろん歯にも悪影響を与えることはご存じの方も多いことでしょう。最近では、身体への影響が少ないアイコスをはじめとした加熱式タバコも普及してきています。
では、このような電子タバコはインプラント治療をはじめとした歯の治療にも影響は少ないのでしょうか?加熱式タバコのインプラント治療への影響についてご紹介していきます。
加熱式タバコの特徴とは
加熱式タバコと通常のタバコの違い
では、加熱式タバコと通常のタバコにはどのような違いがあるのでしょうか。まず、第一に上げられるのが、煙が出ないという点です。ペースト状にしたタバコの葉を加熱し、出た水蒸気を吸引するためです。それにより、有害物質が90%以上も減少させるという効果があります。禁煙に幾度となく失敗をしてきた人でも、加熱式タバコであれば移行がしやすいことから、ここ最近使用する人も増えてきています。
全ての有害物質の除去するわけではない
タールは含まれていないため、歯の着色が抑えられるメリットがあります。しかし、水蒸気には、 「一酸化炭素」、「多環式芳香族炭化水素」、「揮発性有機化合物」といった有害物質、そしてニコチンが含まれています。
タバコが吸いたいという願望はニコチンが切れることで起こるものです。ニコチンが切れると身体にはイライラするなどの症状が現れます。従来のタバコから加熱式タバコに移行した人でも、ストレスが少ないといわれているのは加熱式タバコにもニコチンが含まれているためです。
その一方で、ニコチンには血管を収縮させてしまう悪影響があります。成分は少量であっても有害物質が含まれていることには変わりはありませんので、注意が必要です。
タバコによるインプラントへの影響とは
では、なぜ喫煙によって悪影響がでるのでしょうか。それはインプラント治療の流れが関係しています。インプラントを埋め込む際、治療法により若干異なりますが、まずは歯ぐきを切り開きインプラントを埋め込み、その後歯ぐきを閉じます。この期間に骨とインプラントが結合するのを待ちます。
実はこの時に喫煙をしていることで、血管が収縮するため、栄養が骨や歯ぐきに十分に行き渡らない可能性があります。それにより、感染症にかかるリスクが高まってしまいます。埋め込んだインプラントは骨、歯肉に支えられている状態にあります。しかしながら、喫煙によって骨や歯肉の回復を妨げる影響があることから、インプラントの脱離のリスクが高まります。
また、喫煙によりお口の中のだ液の量が減少することから、細菌が発生しやすい環境になる場合もあります。それにより、インプラント周囲炎など、インプラント寿命が短くなってしまう恐れもあります。唾液の減少は口臭の原因にもつながります。
禁煙が難しい方も一定期間は喫煙を控える
歯科医院によっては、喫煙者には骨を増やす手術を行わないというところもあります。5~10年という長期的なスパンで経過を見ていると、喫煙によって歯ぐきや骨が痩せていくケースも見られることから、インプラントの状態が良くない場合も多くあります。インプラント手術を受けた方、受けようと検討している方は、今すぐには難しくても将来的にはできる限り喫煙の機会を減らしていくことが大切です。
まとめ
インプラント治療は1本何十万もする高価な自由診療です。喫煙の頻度や本数によってもリスクは異なりますが、アイコスをはじめとした、加熱式タバコから発生するわずかな有害物質でもインプラントの成功率に影響を及ぼすケースも考えられます。
インプラントの寿命を延ばし、健康な食生活を送るためにも、インプラント治療を受ける方は禁煙をおすすめします。